【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第5章 3
しばらくそのままだった。エアコンの低い駆動音と、保冷剤が溶ける微かな音。爆豪は透の肩から額を離さない。
「…轟くんが」
びくり、と爆豪の肩が跳ねた。顔を上げる。警戒と不安が入り混じった目。
「私のこと好きって気付いてたの?」
目を見開く。それから、苦々しげに顔を歪めた。
「——ああ。前から薄々な。」
吐き捨てるように。
「で、なんだ。お前どうすんだ。」
「…今は恋愛する気ないって言ったら…待つって言ってた。」
爆豪の握りしめた拳が震える。
「待つ、ね。」
乾いた笑い。
「あいつらしいわ。」
爆豪はふと、捲り上げられた透の服から覗く身体に違和感を覚える。
目線が透の鎖骨から胸元、腹部へと流れる。前回会った時より——明らかに細い。
「おい。」
保冷剤を肩から離し、両手で透の二の腕を掴んだ。
「何でこんなに痩せてるんだ。」
透は目を泳がせる。そんなにわかりやすいくらい痩せてしまったかと考える。
「夏バテだよ。」
掴む力は強いが痛くはない、ギリギリの加減。
「二週間でここまで落ちる夏バテがあってたまるか。——ちゃんと食ってんのか。」
ヘラヘラと笑う。
「食べてるよー大丈夫だって。」
その笑い方が嫌いだ。誤魔化す時の、突き放すようなあの顔。
「大丈夫じゃねぇから、こんだけ痩せてんだろうがッ——!」
声を荒げかけて、はっと口を噤む。傷に障る。
大きく息を吸って、吐く。
「……頼むから、正直に言え。」