【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第5章 3
マンションのエレベーターを降りると、廊下に爆豪が立っていた。部屋着のまま——ずっとここで待っていたのか。
透は思わず駆け寄る。
「何してんの!?」
腕を組んだまま壁にもたれていた体を起こす。目が据わっている。怒っているのか心配しているのか判別しがたい顔。
「遅ぇ。」
爆豪の手を握って擦る。
「何分待ってたの?夜はまだ寒いでしょ。」
爆豪は質問を無視して透の顔を近くで覗き込む。酒の匂いはしない——素面だ。けど一応。
「酒飲んだか。」
透は爆豪の腕を擦って冷えた肌を温めようとする。
「飲んでないよ、蕎麦食べてきた。
…部屋入ろう。」
透は鍵を開けて、爆豪を招き入れる。
爆豪は黙って部屋に入り、リビングのソファにどかっと座る。まだ何か言いたそうに口を開きかけて、閉じた。
透は暖かいココアと毛布を爆豪のいるソファに持っていく。
毛布を受け取るでもなく、ココアを睨む。
「轟と何話した。」
わずかに手元が揺れる。
「世間話だよ。お互いのことあんまり知らなかったしね。」
赤い目が細くなる。嘘を見抜いているのか、それとも確信が持てないのか——数秒の沈黙。
「世間話で夜9時までかかんのかよ。」
「ヴィランと戦って残業だったからね。」