【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第5章 3
駅が近づいてきた頃、轟が足を止めた。
「俺はこっちだから。——透。」
「ん?」
振り返り、いつもの無表情——だがその奥に、確かな温度がある。
「今日はありがとう。楽しかった。」
それから少し迷うように間があって。
「ちゃんと食え。痩せただろ、少し。」
透はギクリと肩を揺らし、苦笑いをする。
それだけ確認すると、小さく頷いた。踵を返す。
「——じゃあ、また。」
「うん、またね…。」
手を振る。透は自然に笑顔になっていた。
久々に穏やかな時間を過ごせたと思う。
轟の背中が夜の道に消えていく。透も反対方向のホームへ向かった。
電車に揺られながら、今日のことを思い返す。轟の真っ直ぐな言葉。押し付けがましくなく、ただそこに置いておくような優しさ。
——それは今の透には、少し眩しかったかもしれない。
最寄り駅に着いたのは夜9時過ぎ。マンションまでの夜道を歩く。
スマホが震えた。
LINEの通知。短いメッセージ。
『何時に帰る』
爆豪からだった。久しぶりの連絡。
『今最寄りだから、あと10分もかからないよ』
既読はついたが返信はなかった。