【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第5章 3
店の外では夜風が吹いていた。食事を終えた二人が店を出ると、昼間の熱気が嘘のように涼しい。
並んで歩く。駅までの道は街灯がぽつぽつと続いている。
「轟くん…。」
歩調を緩めた。
「どうした。」
「私…今、恋愛するのが怖くて…勇気がないんだ…ごめん。」
立ち止まった。街灯の光が半分だけ顔を照らしている。
「謝ることじゃない。」
轟の声はいつもと変わらない。穏やかで、揺るぎがない。けれどその目は、真剣だった。
透の目頭が熱くなる。
轟はポケットに手を入れたまま、少し夜空を見上げて。
「怖いなら、今は答えなくていい。——ただ。」
視線を透に戻す。
「俺の気持ちは変わらないから。待つ。」
「待たなくてもいいよ。」
保険をかけてしまう。
ふ、と息だけで笑った。
「それは無理だな。」
「どうして、?」
一歩だけ距離を詰めた。大きな手が透の頭にぽん、と乗る。不器用でぎこちない動き。
「好きになったもんは仕方ないだろ。——待たなくていいって言われても、待つかどうかは俺が決める。」
透は真っ直ぐな言葉に赤くなる。こういうのには慣れていない。
手を離して、何事もなかったように歩き出す。
「駅、こっちだ。」