【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第5章 3
二人は同時に勢いよく走り出した。
左手から氷が走り、出口に殺到する群衆の足元を固定して安全を確保する。右手は温存——炎の個性は屋内では最終手段だ。
中に飛び込んだ透が見たのは、三階の吹き抜け付近で暴れる大柄な男。口から唾液を撒き散らし、触れた床や商品棚が溶けている。強酸性の体液——厄介なタイプだ。
スマホで通報を入れながら。
「客の避難は俺がやる。お前は上のヴィランを頼む。」
透は頷き、一階の噴水の中に立つ。三階のヴィランに意識を集中させる。
右腕を上げて、人差し指を向ける。噴水から水の棘が生成され、ヴィランに向かって放たれた。
水の棘が三階まで一直線に伸びる。だがヴィランは素早く身を躱し——撒き散らされた酸が水に混じって蒸発、周囲に白煙が広がった。
にやりと笑う。
「水ぅ?ただの水で俺の酸に抗おうなんて舐められたもんだなぁ、ヒーローさんよぉ!」
酸の霧の中から男が跳躍した。一階の透目がけて落下してくる。
「クソが…。」
両手を前に突き出して、手のひらに力を込める。
「…っアクア・プリズン。」
透は大きな水の球体をぶつける。大量の水の中に閉じ込めて、ヴィランの口を塞ぎ、気絶させようとする。
——が、男の口元から凄まじい量の酸が噴出。水球の内側から溶かし、気化したところから崩れていく。
「がぼっ……舐めんなぁ!」
水の檻が崩壊する。酸まみれの男がそのまま落下、一階に着地。透との距離はわずか数メートル。近すぎる、水壁を張る余裕がない。