【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第5章 3
少し強めの風が二人の髪の毛を揺らす。
「ん…ありがとう…。理由、聞いても良いかな。」
信号が変わるのを待ちながら、透は少し考えるように視線を落とした。
「理由か。……難しいな、そういうの。」
轟は言葉を探すように間を置いた。
「最初は——なんだろうな。一緒にいて楽だったからだと思う。俺のこと特別扱いしないし、気を遣わない。それが心地よかった。」
信号が青に変わり、横断歩道を渡り始める。
「でもいつからか、それだけじゃなくなった。
お前が現場で人を助けた後に見せる顔とか、誰にも気づかれないところで努力してるところとか。
冷静なのにストイックなところが——そういうの見てると、目が離せなくなる。」
透は少し照れて耳が赤くなる。
「褒めてもなんにも出ないよ。」
ちらりと透を見て。
「事実だ。」
それだけ言って、前を向き直した。
商業施設の前を通りかかる。ガラス張りのエントランスに二人の姿が映った。
「——耳、赤いぞ。」
透は更に赤くなり、耳を両手で隠す。
ほんの一瞬、轟の口元が緩んだ。珍しい表情だった。
その時、施設の中から悲鳴が上がった。同時にガラスが砕け散り、黒い煙が噴き出してくる。