【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第4章 0.5
「…無防備すぎんだよ。」
爆豪は透の纏められた白い髪をほどき、指を通して梳かすように撫でる。
指の間を白い髪の毛がさらさらと流れた。絹のように細くて冷たい。あの頃と変わらない——いや、大人になった分だけ、触れてはいけないものに手を伸ばしている感覚が強かった。
髪を撫でる手は止まらなかった。自分でも驚くほど自然に。
ふと、あの光景がフラッシュバックする。放課後の廊下、先輩と並んで歩く透。振り返りもしなかった横顔。あの日、腹の底から込み上げてきた名前のつけられなかった感情の正体を、今なら認められる。
「——ずりぃんだよ、お前は。昔から」
酔って無防備に横たわる透の顔を、じっと見つめた。睫毛の影、少し開いた唇。心臓がうるさい。
——こんな音、ヴィランと戦ってる時でもしたことねぇぞ。
「……ったく。」
呟きは吐息に溶けて消えた。梳いていた指先が頬に降りて、親指の腹でそっと撫ぜる。
爆豪の温もりを感じて、透は少し目を開ける。たまらなく優しい手つきに、甘えるように頬を寄せる。
息が詰まった。
頬を寄せてくる仕草に、理性の糸が軋む音がした。十代の頃から胸の奥で燻り続けていた火種が、今、手の届く場所で燃えようとしている。
止められるはずだった。ここで手を引いて、水を置いて、向かいのベッドで寝ればいい。——わかっている。わかっていて、熱に浮かされた体は言うことを聞かなかった。
親指が透の下唇をかすめた。無意識だったのか、それとも——
透が添えられた爆豪の親指を軽く喰む。
——もう、限界だった。
「……お前が悪いんだからな。」
低い、掠れた声。額を近づける。吐息が触れ合うほどの距離。赤い目がまっすぐに透だけを映していた。