【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第4章 0.5
バーテンダーが無駄のない動作でグラスを二つ取り出した。ライムを半分に切る小気味よい音が店内に響く。氷がグラスの中で転がる音、ボトルの蓋を開ける微かな音——それだけが会話の隙間を埋めていた。
爆豪は肘をカウンターに乗せ、正面のボトル棚をぼんやり眺めている。沈黙が数秒続いた後、ぽつりと。
「……お前、今なにやってんだ。」
落ち着いた声のトーンが店の雰囲気に溶け込んでいた。
「仕事。」
「ヒーロー活動してるよ。半年前から独立した。」
透は頬杖をつきながら答える。
グラスに口をつけかけた手が止まった。目だけが透の方に動く。
「——半年前?」
一口飲んで、グラスを置いた。カツン、と硬い音。
「独立ってことは事務所構えたのか。どこで。」
透き通ったライトグリーンの液体に気泡が静かに昇っていく。ライムの爽やかな香り。出来上がったグラスがすっと爆豪と透の前に滑り出された。
透はバーテンダーにお礼を言い、グラスに手を添える。
「んー、雄英高校から五駅くらい離れたとこかな。」
頬杖をついて、少し考えるような間があった。
「五駅……あぁ、あの辺か。確かあそこ管轄してんの——」
指でグラスの縁をなぞりながら。
「——あのモブヒーローか。名前忘れたけど。」
口は悪いが、爆豪の頭の中では同業者の勢力図がしっかり入っているらしい。グラスの中の氷がカランと音を立て、二人の間の空気をわずかに揺らした。