【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第3章 0
大部屋に押し込まれた三十人超の元生徒たち。マイクが宙を舞い、誰かが入れた演歌に切島と鉄哲が歌い、上鳴が合いの手を入れている。
そして青山が突然「キミの瞳にカンパイ」と歌い出して常闇が頭を抱えた。
意外にも爆豪は二次会に参加し、ソファの端に座り足を投げ出している。
一次会で外に出たきり、いつの間にか戻っていた。歌う気はゼロらしく、騒ぎを睨みつけながらハイボールを煽っている。
その横に透は静かに腰掛ける。
「爆豪くん。久しぶり。さっき喋れなかったね。」
缶から口を離し、横目だけで透を見た。
「……チッ。別に喋ることなんざねえだろ。」
そう言いつつも、どけとは言わなかった。爆豪勝己という男は本当に嫌なら席を立つ人間だろう。つまり、ここにいることを許容していると透は認識した。
前のステージでは、今は芦戸と葉隠がデュエットでアイドルソングを熱唱している。
「……あいつら相変わらずうるせえな。」
少しの間。
「B組の連中と飲まねえのかよ。つーか、てめー飲めんのか。」
「他の人みんな出来あがっちゃってて…」
透は苦笑いして指差す。
透の指の先では、吹出が芦戸に絡みながら何かの早口クイズを始め、切島と瀬呂と鉄哲が肩を組んで「男気じゃんけん」からの酒飲みゲームに興じていた。峰田と物間は隅で酔い潰れており、蛙吹と拳藤が冷静に水を飲ませている。
「こっちに避難。爆豪くん、意外とお酒の飲み方綺麗だよね。もっと暴れるのかと思ってた。」
透は屈託なく笑い、爆豪の横顔をじっと見つめる。
鼻で笑った。
「酒に呑まれるタチじゃねぇわ。」
爆豪は一口飲むと、何気ない風を装って口を開いた。
「……さっき半分野郎と何か話してたな。合同がどうとか。」
聞こえていたらしい。一次会の会場は広かったが、意図的に耳を澄ませていたのか。赤い目をカラオケの画面から離さないまま表情を変えない。