【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第3章 0
葉隠が思い出したように手を叩く。
「そう言えば、雄英時代、一つ上の先輩と付き合ってたよね!?」
透の瞳が揺らぎ、視線が逸れる。
少し離れた場所で緑谷と話していた爆豪がグラスに口付けたままこちらを静かに見る。
透はシャンパングラスを持ち直して口元を隠す。
「さすがに学生の付き合いだし…もうとっくに別れたよ。」
「えっ、マジ!?別れちゃったの!?あの先輩めっちゃイケメンだったのに!」
「だよね〜!文化祭のとき一緒に回ってたの見たもん!お似合いだったのになあ。」
葉隠の声に悪意は一切ない。純粋な驚きと、ほんの少しの残念さが混じったトーンだった。だが、空気の機微を読むことに長けた者なら、グラスで口を隠す透の仕草の奥にあるものに気づいたかもしれない。
横にいた心操が黙ってグラスの中身に目を落とした。それ以上踏み込まない、という彼なりの気遣いだった。
「……まあ、学生の頃の話だろ。今が楽しけりゃいいんじゃないか。」
「うんうん!切り替え大事!じゃあ今はフリーなんだ!チャンスじゃーん!」
上鳴が後ろからひょっこり顔を出す。
「 え、なになに?透さん今フリーなの?俺立候補していい?」
上鳴の耳たぶを耳朗が指で引っ張る。
「消えろチャラ男。」
遠くの席で爆豪がグラスを空にしてテーブルに置いた。
硬質な音が響く。緑谷が「かっちゃん?」と声をかけたが、返事はなかった。