【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第3章 0
「三奈ちゃん。」
透は微笑んでシャンパングラスを持ち、呼ばれるまま隣に立つ。
「きゃー!会いたかったー!透ちゃん全然変わんないね、その白い髪サラッサラじゃん!」
芦戸は透に抱きつく勢いで身を寄せた。
ピンクのドレスに合わせるようにネイルもピンクに統一されていて、相変わらずの全力の華やかさだった。
隣では葉隠が透明な体にシルバーのドレスとグラスが宙に浮いているという不思議な状態で、手元のカクテルを揺らしている。
「あっ、私も私も!透ちゃんだ〜!ねえねえ今何してるの?プロヒーロー?」
「てかさ、聞いてよ。物間のやつ今日もなんか企んでるっぽくてさ。さっきからスマホずっといじってるの、あれ絶対ロクなこと考えてないよね。」
芦戸の視線の先で、物間寧人が意味深な笑みを浮かべたまま、スピーチ用のマイクの位置をちらちらと確認していた。拳藤が、横目でそれを監視している。
その様子を見ていると、心操がふらりと近づいてきて、手にしたグラスを軽く掲げた。
「 ……久しぶり。元気にしてたか?」
空気感が似ているからか、比較的仲良くしていた心操の登場に肩の力が抜ける。
「心操くん、久しぶり。対象の案件が違うからか、全然ヒーロー活動の場でも会わないよね。」
心操が苦笑いをして肩をすくめる。
「だな。俺は主に潜入系の案件が多いから、表に出ること自体が少ないんだよ。」
心操は紺のジャケットをラフに羽織りながらも、どこか洗練された佇まいだった。「洗脳」という強力な個性に反して、本人の雰囲気は穏やかだ。
「お前の水の能力、現場で重宝されてるって聞いたぞ。消防との合同任務とか、海難救助とか。」
「え〜、二人ってそんな再会して早々、仕事の話する仲なの?もっとこう、恋バナとかないわけ?」
「それそれ!聞きたい!透ちゃん彼氏いるの?」
二人の食いつきが一瞬で獲物を見つけた猛禽類のそれに変わった。
心操が一歩引いて、巻き込まれる前に距離を取ろうとする。
「心操くんも逃げないで!ねえねえ透ちゃんの好みのタイプとかさあ!」
会場の前方では、飯田が腕時計を確認しながら開会の挨拶の段取りをブツブツと復唱していた。