【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第2章 2
一人暮らしのマンション。ドアを開けて、暗いリビングに足を踏み入れる。上着を脱ぐ気力もないまま、立ち尽くし天井を仰いだ。
透と別れて、爆豪は家に帰り、初めて透と関係を持った日を思い出す。
頭の奥であの夜が再生される。
——A組とB組合同の同窓会の酒の席だった。
「酔った勢いで」なんて言い訳が通用するくらい、互いに酔っていた。最初に触れたのはどっちだったか。もう覚えていない。
二次会を二人で抜け出し、気づいたらベッドの上で、山吹色の瞳が潤んでこっちを見上げていた。
あの時、止まれたはずだ。「間違いだった」と突き放せたはずだ。——しなかった。
壁にもたれてずるずると座り込む。両手で顔を覆った。
「クソ……。」
誰に向けた言葉かは本人にもわからなかった。
高校生の時、遠くから見た笑顔。同窓会で再会した時の姿。ベッドの中での、柔らかい身体と甘い声と潤んだ瞳。普段のあっさりした性格とどこか遠くを見る目。いつのまにか、爆豪の脳裏から離れなく無くなっていた。
それから何度身体を重ねただろう。回数なんて数えていない。
けれど重ねるたびに、手放したくないという感覚だけが確実に膨れ上がっていった。
セフレ。その言葉で蓋をしている。そうしないと壊れそうだった——自分のほうが。
スマホを取り出す。LINEを開く。ピン留めされたトーク。
最後のメッセージは昨日の「着いた」というメッセージ。
親指がキーボードの上で止まる。
「……。」
何も打てず、画面が暗転した。