【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第2章 2
数歩進んでから、低い声で。
「半分野郎か。」
「うん、今度合同パトロールあるから。」
足を止めた。
「聞こえてたわ。飯も行くんか。」
「あぁ……何回か誘われてて。断りすぎるのもね可哀想だし。」
ゆっくり振り返る。サングラスを額に上げた。赤い目が真っ直ぐ透を射抜く。
「行きてぇなら行きゃいいだろ。」
声は平坦だった。怒鳴るわけでもなく、荒れてもいない。だからこそ、その奥にある感情の重さが透けて見えた。
再び前を向いて歩き出す。歩幅が少し大きい。
「あいつは顔も悪くねぇし強ぇし——誘い断る理由がねぇもんな。」
広がっていく距離と声に透は棘を感じる。
「なに、怒ってるの?」
爆豪の足がぴたりと止まる。
「怒ってねぇ。」
怒っている。
「今まで断ってたって言ってるじゃん。というか、言われなくても行くか行かないかは自分で決めるよ。」
背を向けたまま、数秒の沈黙。それから小さく息を吐いた。
「……勝手にしろ。」
透も少し苛立ちを覚える。
「本当に。何で怒ってるの?」
振り返った。苛立ちを通り越して、どこか苦しそうな顔。
「怒ってねぇつってんだろ。」
一歩、透に近づく。
「——俺に聞くな。わかんねぇなら……それでいい。」
その表情を見て、思わず黙り込んでしまう。