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色彩を拒んだ瞳に、最強の影を

第3章 傲慢な救済


あれから何度目かの壁外調査。

私の瞳に映る景色は相変わらず色彩を欠いているが、ただ一つ、リヴァイ兵長の背中だけは嫌でも視界に焼き付いていた。

巨人の手が鼻先を掠める。

恐怖はない。ただ、このまま握りつぶされれば、明日の朝7時の掃除をしなくて済むのか、と場違いな思考がよぎる。

「――おい、クソガキ!!」

視界が回転し、気づけば私は兵長の腕の中にいた。彼が巨人のうなじを削ぎ落としたのと、私を回収したのはほぼ同時だった。



「お前、自分が何をしたか分かってんのか」

低い声が、これまでになく冷たく響く。

「……避けたつもりでしたが」
「嘘をつけ。お前は今、あの巨人に自分を差し出した。……何のために俺が、毎朝お前の額を小突いてると思ってやがる」

兵長の瞳には、怒りよりも深い、何かを失うことを恐れるような色が混ざっていた。

ああ、似ている。

崩れゆく瓦礫の中で、自分を突き飛ばして満足げに死んでいった、あの人たちと。

私の意思など無視して、勝手に助けて、勝手に安堵して、私に「生」を押し付ける。

目の前の男が放つ剥き出しの熱量は、あの日からずっと私を蝕んでいる気持ち悪さそのものだった。
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