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色彩を拒んだ瞳に、最強の影を

第6章 つかの間の休日


街の中心、色とりどりの屋台が並ぶ広場で、ペトラたちが「美味しそう!」と声を弾ませて駆け出していく。

その後ろを、慣れない私服で落ち着かない様子のエレンが、オルオたちにからかわれながら付いていく。

年相応の少年らしい顔で笑う彼らの姿は、ここが巨人の脅威にさらされた世界であることを一瞬忘れさせるほどだった。

そんな若者たちの喧騒から数歩下がった場所を、リヴァイとハンジが静かに歩く。

「……昨日は #NAME1 を運んでくれてありがとう、リヴァイ」

ふと、ハンジが前を行く背中を見つめたまま、柔らかい声で言った。

リヴァイは相変わらずの仏頂面で、ポケットに手を突っ込んだまま鼻を鳴らす。

「……はっ。お前が風呂にも入ってねぇ不衛生な身体で、俺の班員を運ぼうとしてるのが見ていられなかっただけだ」

「あはは、相変わらずだねぇ。でも、あの子も少しは生きてる人間の顔をするようになったと思わないかい?」

ハンジの視線の先では、ペトラに無理やり焼き菓子を口に押し込まれ、目を白黒させている #NAME1 の姿があった。

「……死ぬために生きてるようなガキだ。たまにはあんな甘ったるい毒でも食らって、脳を弛ませるくらいが丁度いい」

リヴァイの言葉は辛辣だったが、その眼差しは、はしゃぐ部下たちを、そして #NAME1 を、静かに守るように見つめていた。

「……そうだね。……今だけは、みんなに幸せでいてほしいよ」

ハンジの呟きは、賑やかな街の音に溶けて消えた。

当人たちがその後に訪れる絶望を知る由もない、残酷なほどに穏やかな、午後の陽光が降り注いでいた。
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