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色彩を拒んだ瞳に、最強の影を

第5章 春の終わり、あるいは爆弾


結局、あの審議所を経て、私たちはそのとんでもない爆弾を連れて旧調査兵団本部へと馬を走らせていた。

前を行くリヴァイ班の背中。その中心に、あの時巨人の中から現れた少年――エレン・イェーガーが馬を並べている。

「……おい、ノア」

速度を落とし隣を走るリヴァイ兵長の低い声に、私は現実に引き戻される。

「はい」

「あの中にお前と同じ年頃のガキがいる。古城に着いたら、調査兵団の規律から掃除の作法まで、叩き込んでやれ」

予想外の指示に、思わず手綱を握る手が止まりそうになる。

「おい、あからさまに嫌な顔をするな。」

「してません気のせいです。」

思わず反射的に返事をしてしまう。そして、深呼吸をし息を整える。

「……兵長。私、他人に教えるような余裕なんてありません。あんな、わけのわからないものの面倒なんて……」

言いかけた私の言葉を、最強の男は冷徹な眼差しで遮った。

「相談しているわけじゃない。命令だ。……やれ」

二度見した最強の横顔は、相変わらず一点の曇りもなく前を見据えていた。

(……えぇ……)

声にならない絶望が、冷たい風と一緒に喉を通り過ぎていった。

自分の命すら持て余している私に、あんな得体の知れない後輩を押し付けるなんて。

遠ざかるトロスト区。近づく古城。

眩しすぎる初夏の日差しが、私のモノクロの世界を容赦なく照らし始め、それがひどく不快で、やりきれなかった。
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