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色彩を拒んだ瞳に、最強の影を

第5章 春の終わり、あるいは爆弾


第56回壁外調査。

新兵が配属される前の最後の壁外調査になる。

運悪く前回無茶をしすぎた罰として兵長の見張り付きの壁外調査になってしまった。

巨人のうなじを削ぎ落とし、血飛沫を浴びながら地面に着地する。

指先は冷え切り、心臓の鼓動だけがうるさいほどに「生」を主張していた。

「……ふん。やればできるじゃねぇか」

ブレードに付着した血を振り払う私の横に、いつの間にかリヴァイ兵長が降り立っていた。

称賛というにはあまりに淡々とした声だったけれど、あの潔癖な人が、返り血で汚れた私の戦いぶりを肯定した。

「……死ぬ気でやっただけです」

「死ぬ気、じゃねぇ。死なないために動いた結果だ。……その調子で次も動け」

最強の男に背中を叩かれ、私は言葉を飲み込む。

褒められたはずなのに、胸の奥が不愉快なほど熱を帯びていた。

――その時だった。

地響きを立てて一騎の馬がこちらへ突き進んでくるのが見えた。

「伝令! 伝令です!」

転げ落ちるように馬から降りた兵士は、泥と脂汗にまみれていた。

「超大型巨人が出現! 外門が突破されました……! 現在、トロスト区は巨人の侵入を許し、地獄と化しています!」

その場にいたリヴァイ班の空気が、一瞬で凍りつく。

「……なんだと?」

オルオ先輩の声が裏返る。
兵長は何も言わなかった。ただ、今まで見たこともないような冷徹な眼差しで、壁のある方角を見据えた。

「……行くぞ。全員、全速力だ」
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