第5章 春の終わり、あるいは爆弾
まだ人もまばらな早朝の食堂。
一人で静かにパンを噛みしめていた私のところに、賑やかな足音が近づいてきた。
「おはよう、ノア。また隅っこで一人で食べてる」
ペトラ先輩が困ったように笑いながら、隣に腰を下ろした。
「……おはようございます。別に、避けているわけじゃありません」
嘘だ。
本当は誰にも邪魔されずに、朝をただやり過ごしたかった。
けれど、私の隣には当然のようにオルオ先輩が座り、向かいにはエルド先輩とグンタ先輩が並ぶ。
「聞いたか? もうすぐ104期の新兵が配属されるらしいぜ。……ったく、どこの馬の骨がうちに来るんだか。せいぜい俺の足を引っ張らねぇ奴が来ることを祈るんだな」
オルオ先輩が声を潜めながら、でも隠しきれない興奮気味に話し始める。
新兵。102期である私にとっては、初めてできる「後輩」ということになる。
「……新兵、ですか」
「あぁ。中には見どころのある奴もいるらしい。お前とは歳も近いし、いい刺激になるだろ」
エルド先輩の言葉に、私は「関係ありません」と答えようとして、喉の奥で止めた。