第4章 春を待つ足音
――翌朝。
重い瞼を持ち上げ、兵舎の窓の外を見る。
空は白く濁っていて、色彩は相変わらず戻ってこない。
暦の上ではもうすぐ春だというのに、外の空気はまだ容赦なく肌を刺した。
凍てつくような冬の余韻が、私にまとわりついている。
廊下に出れば、吐き出す息が真っ白に染まる。
「……寒い」
独り言は、誰に届くこともなく消えた。
訓練場へ向かう足取りは重いが、それでも昨日のあの人の言葉が、私の背中を勝手に押し進めていく。
死なないと言い切った、あの傲慢な背中の熱。
それを思い出すだけで、この刺すような冷気すら少しだけ遠のくような気がして、私はそれがどうしようもなく不愉快だった。