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PRISM LINE【ワールドトリガー】

第3章 色づいて、舞い踊る



「花衣さーん!頑張ってー!」
「はは、かなり緊張してるじゃん、あの顔」


勢いよく片手を振った出水に気づいた望月の表情は悲壮感そのもの。本人は一応笑って反応してるつもりだろうが、笑うどころか凝り固まった顔の筋肉が上手く動いてくれないのか、もはや睨んでるようにしか見えない。

それを見た迅が苦い笑いを貼っつけたタイミングで、一番手がブースに入り、戦闘訓練開始。


「今年は何秒出ると思います?」
「どうだろうな、他は知らないけど駿なら10秒前後は出せるんじゃないか?」
「太刀川さんの予想は?」
「望月ならそんぐらい出せるだろ」
「いや、緑川の話しです」
「アイツはセンスもへったくれもないけど、努力でのし上がるタイプだからな」
「いやだから、緑川が何秒出るかって話ししてんのに」
「出水、太刀川さん今それどころじゃないからそっとしといてやって」


この人朝からずっとこんなんなんですけど。呆れ返ってそう漏らす出水には悪いが、朝からじゃない、昨日の夜からだ。

他のヤツなんてはっきり言ってどうでもいい。現に次から次へと記録を出してはブースから出ていく新人の動向なんて目に入ってこなかった。

そんな俺の意識を一瞬にして持っていったのは、騒つく周囲の歓声と、隣で喜ぶ出水の声に、3号室、記録4秒。温度のない簡易的なアナウンスのそれ。


「うはー!緑川すげーな!4秒って化け物かよ」


意気揚々とブースから出てくる姿に口角が上がった。

強そうなヤツを目にするとどうも血が騒ぐ性分を、他がどれだけ短所だと口を揃えて馬鹿にしても、俺は最大の長所だと思ってる。
バチバチやり合えるメンツが増えるのは大いに結構なことだ。


「あ、次花衣さんだ」


緑川と入れ替わるように、他のブースに入る後ろ姿。毎日何十本とやってきたバムスター退治だ、アイツからすればアリを捻るより簡単、何の造作もない。はずだが。なんでそんなガチガチなんだよ。


肉眼で捉えた望月も、おいおい嘘だろとモニター越しに確認しても、どうしたって顔面蒼白。まるでいつかのアイツとしし丸を救った時の表情と被って、頭が痛くなりそうだった。




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