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PRISM LINE【ワールドトリガー】

第3章 色づいて、舞い踊る



大学とボーダーとたまの飲みと。全部引っくるめたら自分のとこの隊員よりも、一緒にいる時間はずっと長かった。

真っ向から否定していたアイツが、一にも二にも口を開けば嫌だと罵るアイツが、やっとスタート地点に立てた今日、柄にもなく感慨深くなった。

子の門出を祝う父親の気持ちって、こんなんなのかもしれない。


「太刀川さん、なに泣きそうになってんですか」
「うるさいよ、今日までの苦労がやっと報われる俺の気持ち、お前に分かるか?」
「いや、分かんないっす。つーか重いです、ちょっと引きますよそれ、って、あ、迅さんだ。迅さーん!こっちこっち!」


おいこら真顔で返すな、傷つくだろ。

早々に俺から視線を外した出水がそのまま背後に移す。釣られて振り返ると迅と隣に風間さん。良かったな望月。お前の晴れ姿をこんなに大勢の人間が見にきてくれたんだぞ。


「大勢って、4人ですけどね」
「だからうるさいってお前。俺は今物思いに耽ってたいんだよ黙っとけ」


うっかり口を滑らせたのは、それだけ感極まっている証拠だ。

仮想空間でのトリオン兵を使った戦闘訓練。入隊式での恒例となったそれを、今か今かと待っている俺の、この何とも言えない緊張感やら高揚感が気持ち悪くて落ち着かない。

いつもよりギャラリーが多いのも、迅はともかく風間さんまでわざわざ足を運んで見にくるのも、全て俺の可愛い………、


「今年の新人で緑川ってやついるんすけど、アイツかなりやり手みたいですね」
「あー、駿ね。まさかほんとに入隊すると思わなかったけど」
「そういえば迅さんが助けたんでしたっけ」
「そうそう、アイツはセンスあるから伸びるだろうな。風間さんもそう思うでしょ?」
「あぁ、一度見ておく価値はありそうだ」


弟子目当てじゃねーのかよ。

なんだよお前ら。もっと手塩にかけて育てた俺を、いや育てられた望月を賞賛しろよ。

あ、来た来た。出水の声に視線を飛ばすと数十人の新人に紛れて、いつも以上に仏頂面なアイツを見つけた。




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