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PRISM LINE【ワールドトリガー】

第1章 シークレットメロディ



「おい出水」
「はいはい」
「お前病院行ってこい、このちっこいの連れて」
「え?俺が?なんで!?」
「だってお前、どうせ暇だろ」
「いや暇じゃないですよ、夜勤でしょ今日」
「あ、言うの忘れてたわ。今日の任務、望月の捕獲が目的だからこれで終わりなんだよ」


それ早く言って下さいよ!出水と呼ばれた彼が悪態付きながらもあたしの腕の中から腫れ物を扱うみたいに掬い上げて、うわーちっせぇ、可愛いなコイツ。目尻を下げたところで太刀川さんから早く行けと催促される。


「あの、宜しくお願いします」
「了解です。心配しなくても大丈夫っすよ、ちゃんと助けますから」


去り際にそれだけ残した出水くんの背中が暗闇に消えた。


大丈夫だと言ってくれたから、きっと大丈夫だ。そわそわ落ち着かない気持ちはまだあるも、深く息を吐き出すと少しだけ体の力が抜ける。

よし、行くか。太刀川さんの声に沈みそうだった思考が浮上した。視線を合わせると無遠慮に伸びてきた手があたしの腕を掴み上げて、これまた無遠慮に引っ張り上げられたせいで今度は体も浮上する。


「え、ちょ、た、た、たちかわ、さん!?」
「なに?」
「なに?じゃない!え、なにこれ、ちょっと!いやだ!」
「嫌っつってもお前歩けねーじゃん、腰抜かしてんのに」
「そうだけど!恥ずかしいから!ちょっとほんと!おろしてください!!」
「おま、こら!じっとしてろって」
「いやだ!いやだー!おろしてー!」
「はいはい、うるさいちょっと黙れ」


え、コイツ女子に普通にこんなことできんの?だからチャラいって言われるんじゃないの!?

浮いた体はあろうことか太刀川さんに横抱きにされて、そんなこと今の今まで1度もされたことのないあたしは、当然びっくりするのとパニクるのが精一杯で、暴れたくても未だ下半身に力が入らないこの状況じゃ文句しか出てこない。


コートの襟元を掴んで抗議してみても、直にバシバシ叩いてみてもこの男は素知らぬ顔して歩いていく。ていうかそのコート、なに。なんかちょっとダサいし。


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