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PRISM LINE【ワールドトリガー】

第1章 シークレットメロディ



「おーい、望月ー、だいじょぶかー」


何が起きてるのか分からなかった。あたしの脳は知ってる声だとすぐに判断したけど、こんな上手い具合に聞こえるはずなんてないと、全身が拒絶反応を起こしたみたいに目は開けられなかった。


「太刀川さん、なに1人で先に行ってんですか、って、うわ!なんでこんなとこに人がいんの!」
「散歩でもしてたんじゃね?ほら、猫連れてるし」
「いや猫は散歩させないでしょ、つーかここで散歩とか馬鹿でもしませんから」


その馬鹿の部類にまんまと入れられたあたしは、ジャリジャリと砂を蹴って近づく音とほんの一瞬、頭を撫でられた感覚でやっと瞼を持ち上げる。


視界に映った二つの影。ぼやけた瞳に捉えた人物。
1人はやっぱり知ってる顔で、もう1人は派手な髪色の男の子。その後ろに巨大な体を横たえてぴくりとも動かない物体が、まるで鉄の塊のように転がっていた。


「悪いな、遅くなった」
「た、たち、た、」
「無理に喋んなくていい。どっこも怪我してないか?」


あたしの目の前でかがみ込んだ太刀川さんの瞳がいつも見ているそれより随分と優しかったのは、よっぽど恐怖心が滲み出ていたからだと思う。

その証拠に立てるか?と聞かれて下半身に力を込めるも、全く言うことを聞いてくれない。腰を抜かすなんて始めての経験だった。


「た、たちかわさん、お願いがあるんですけど」
「お願い?なに?」
「病院!病院行きたいんです!」
「え、お前どっか怪我した?」
「してません、あたしじゃなくてこの子が!早くしないとヤバいから」
「……あー、」


ほっとする時間も感傷に浸る時間も今のあたしにはない。本当は頼ることもしたくないけど、しばらく使い物にならない自分の体じゃ懇願するしか方法がないから。


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