第3章 玄英宮に響く歌声
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が奏でたのは背中を力強く押すような、光に満ちた旋律だった。
その凛とした歌声は疲弊した男たちの心に不思議な活力を流し込み、滞っていた空気を一気に洗い流していく。
歌い終わり清々しい余韻が庭園を包む頃、静かに控えていた朱衡が目を鋭く光らせて一歩前へ出た。
「――さて。心の栄養補給は、もう十分によろしいですね?」
その声には、一切の反論を許さない重圧がこもっていた。
先ほどまで彼女の歌に聞き惚れていた尚隆と六太の肩が、同時にビクッと跳ねる。
「……朱衡、お前さんは本当に、余韻ってやつを解さない男だな」
「主上、余韻を楽しむ時間は、先ほど提示した予算案の決裁を終えた後に、たっぷりと差し上げます。……さあ、立ってください」
「うわ、もう行くのかよ……。せっかく良い気分だったのに」
六太も恨みがましく朱衡を睨むが、逃げ場がないことを悟り重い腰を上げた。
「尚隆様、六太君、頑張ってください! 終わったら、またいつでも歌いますから!」
が全力のエールを送ると、連行されていく二人は力なく手を振り返した。
「……ああ、分かった。その言葉を支えに、地獄へ戻るとするか……」
「、俺が力尽きたら、墓の前で今の歌を歌ってくれ……」
死地へ向かうような足取りで去っていく後ろ姿を見送り、は隣に立つ朱衡に苦笑いを向けた。