第2章 再会を待つ風
「私たちは女官ですので、主と同じ席につくことは禁じられております。どうか、お気になさらず召し上がってください」
「でも、こんなにたくさん、一人じゃ食べ切れません。それに……一人で食べるのは、とても寂しいんです。残すのは勿体ないですし、皆さんとお話ししながら食べられたら、もっと美味しいと思うから……」
の瞳に宿る、心細そうな色。
それを見た玉葉は他の女官たちと顔を見合わせた。
王宮の厳格な作法よりも、この異邦の少女が抱える深い孤独を癒やすことこそが、主上から預かった真の役目。
「……確かにおっしゃる通りですね。お食事は、一人よりも皆でいただいた方が良いものですわ」
玉葉が微笑んで合図を送ると、他の女官たちも少し照れくさそうに、けれど嬉しそうに、適度な距離を保ちつつ席についた。
「わあ……嬉しい! ありがとうございます」
の顔に、今日一番の明るい笑顔が咲いた。
「このお料理、なんていう名前なんですか?」
「これは我が国の……」
賑やかになった食卓では料理を口に運びながら、ようやく「人としての温もり」を取り戻していく。
側に風漢がいなくても、ここには優しい人たちがいる。
彼女は噛み締めるようにその幸せを味わった。
女官たちとの賑やかな夕食を終え、が深い眠りについたのを見届けると
玉葉は静かに部屋をあとにし、尚隆と朱衡が待つ執務室へと足を運んだ。
重厚な扉を開けるとそこには案の定、山のような書類に囲まれた尚隆と、その隣で静かに筆を動かす朱衡の姿があった。
「主上、朱衡様。ただいま、様の様子を見届けて参りました」
尚隆が即座に顔を上げ、椅子を鳴らして身を乗り出した。
「おお、玉葉。どうだった。……泣いてはいなかったか?」
「はい。最初は一人での食事を寂しがっておいででしたが、私共も相席して欲しいと仰ってくださいまして。共にお食事を囲むうちに、少しずつ笑顔も見られ、今は穏やかにお休みになられています」
「相席、ですか?」
朱衡が少し驚いたように眉を上げた。