第2章 七不思議巡り
「6つ目はプールだね」
真夜中のプールでバシャバシャ音がしているので見に行くと誰もいない
不思議に思ってプールを見に行き、覗き込むと暗い水の中に引きずり込まれる
と、いう話。
「この話オカシイよな」
あいつは言う。
「引きずり込まれて死んだのに、なんで「バシャバシャ音がして」とか
そういう話が伝わるんだよ」
「それは、もう一人生き残ったやつがいるんじゃないの?」
「いや、他の話はそうでも、これは違う。近づいたらみんな引きずり込まれるんだから、
どうやってこの話が伝わるのかっていうの」
変なことにこだわるやつだな。怪談なんてそんなもんだろう。
大体、昔からこいつは…
そんなことを考えている間にプールに着いた。
耳を澄ませるが、バシャバシャという音は…
…聞こえる
微かに水音が聞こえる。風ではない。何かがいる!
「何かいるみたいだ」
あいつは僕の背中を押す。
「おい、やめろよ」
「ここまで来て、見ないわけに行かないだろ」
僕らはプールの壁によじ登り、そっと覗き見た。水音はまだしている。
水音はするけど、何も視えない。
「おい、やばいよ」
僕は言う。
「俺、見てくる」あいつは塀をよじ登ってそのままプールサイドに降りた。
「待てよ!」
僕もその後を追った。夜のプールは墨汁を流したように真っ黒に視えた。
月明かりがキラキラと照らし返されている。
水面が揺れている。
水面の揺れをたどると、ひときわ大きく水が沸き立っているところがある。ちょうど僕らから見て反対側のプールサイドのあたりだ。
「なんだ」
あいつが拍子抜けしたように言う。
「カラスだよ」
僕もよく目を凝らす。確かに、カラスが、プールで水浴びをしていた。それで水音がしたし、黒かったので、闇に紛れて視えなかったのだ。
僕らはプールサイドを一周した。特に何も起こらない。
「いよいよ最後の一つだね」
僕は言う。早く帰りたかった。もう、九時も回っているかもしれない。
晩夏、夏の空気も少し落ち着いて、虫の声が聞こえ始めている。
「最後のひとつってなんだっけ?」
あいつが言う。
あれ?そういえば、最後はなんだっけ?