第2章 七不思議巡り
【七不思議巡り】
「今晩、7時に学校で」
あいつはそう言った。僕は気が進まなかったけど、学校に来た。
この学校には七不思議がある。
それを全部二人で夜に回ろうというわけだ。
夏の夜にピッタリのイベントだと思うが、僕は本当は嫌だった。けど、友達の手前、逃げるのも癪に障る。
僕は7時を少し過ぎて学校の校門に来た。
あいつはすでについていて、校門の中から手を振っている。月もない晩だったが、街頭の明かりがあいつの顔を照らしていた。
内側からあいつが門を開ける。
いつもの昇降口から学校に入る。見慣れた昇降口だが、夜、少し離れた街灯の明かりだけを頼りに歩くと、なんだかそれだけで気味が悪い。
「一つ目は」あいつは言った。そうだ、七不思議を回るんだった。
昇降口横の階段。最初の段が普段は12段しかないのに、夜に登ると13段ある。13段目を踏むと、そのまま異次元の世界に吸い込まれて死んでしまう、という。
僕らは段を数える。
1、2、3、・・・11、12
おしまいだ。
段は12段しかない。
「なんだ・・・」
僕はホッとしたが、強がって言う。
次にいこう、とあいつはそっけなく言う。
2階の女子トイレ。昔いじめられた女の子が首をつって自殺した。その子の霊が住んでいて、個室に入って見上げると天井に吊り下がったその子がにやりと笑って
「いっしょに死のう」
って言われる。翌朝、トイレにその子の死体だけがある…。
「お前が先に入れよ」あいつが言う。
先に言われてしまった。
ここで断ったら、僕が臆病者みたいだ。僕はふるえだしそうな足を手で抑えながら、個室に入る。
「奥から二番目だよ」あいつは言う。
僕は、奥から二番目の個室に入り、用をたすようにしゃがんでから思い切って上を見上げる。
暗い天井。それだけだった。
ため息が出る。
僕が出ると、あいつも入る。10秒位してからあいつも出てきた。
「別に何も出ないね」
つまらなさそうに言う。