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かるら怪談

第16章 コインロッカー


【コインロッカー】

コインロッカーに関連する3つの怪談がある。

<飲み会帰りのOLの投稿>
あれが何だったのか、未だにわからない。

あの日、私は会社の帰りに友人たちと食事会という名の飲み会をして、結構遅くなった帰りだった。私はA線のB駅を利用している。このB駅というのは、急行も止まらないような小さな駅であり、11時を過ぎると利用する人はまばらになってしまう。

その日の私は、『ちょっと飲みすぎたかな』などと考えながら、フラフラと駅の構内を歩いていた。人通りのない駅の通路、そのちょうど右手にコインロッカースペースがあった。別に、コインロッカーに用はないのだが、何となくそちらに目を向けると、そこにあった人影に気づいた。

最初はコインロッカーに用がある人かな?と思った。
その人物は、髪の長い女性のように見えた。

ただ、奇妙なことに、その人物は、コインロッカーから何か取り出しているふうでもない。何をするわけではなく、ただロッカーの方に向かって立っているように見えた。

何をしているんだろうと思い、視線を凝らした瞬間、私は、全身の血が逆流するような戦慄を覚えた。

なぜなら、その人物は向こうを向いているのではなく、こっちをむいていることがわかったからだった。いや、この言い方は適切ではないかもしれない。『身体の向きは明らかにこちらを向いている』のに『頭だけが後ろを向いている』のだ。

目の錯覚かもしれない。本当は、長い髪がバサリと前側に垂れていて、後ろ姿に見えただけだったのかもしれない。しかし、その時の私はあまりの恐怖に、逃げるように踵を返した。

しかし、十分離れたときのことだった。
やめておけばよかったのに、どうしてか、振り返ってその人物の方に再び視線を向けてしまったのだ。

そこで見えたのは、その女性がコインロッカーから何かを取り出すところだった。

私の見間違えでなければ、いや、見間違えであってほしいのだけど、ズルリとロッカーから引っ張り出されたものは人間のように見えた・・・

私は短い悲鳴を上げて、今度こそ、その場から走り去った。

次の日、そのロッカーの前を通ったが、全く異常なところは見られなかった。
あれは、一体、何だったのだろうか。今でもわからない。
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