第15章 事故物件
そう言われると、ますます気になってしまったが、どうすることもできなかった。
更に時間が経つと、夜中に起きてしまうことが頻繁になっていった。夜中に何がしか叫んで、その自分の叫び声で起きてしまっているのだが、何を叫んでいるかわからない。もちろん、寝ても寝た気がしない。当然、大学の授業にも集中できない。
そこで、私は、寝言を録音する事ができるスマホのアプリを使ってみることにした。
初めてアプリを仕掛けた日は、特に途中で目覚めることがなかったものの、いつものように起き抜けは胸が苦しくて最悪の気分だった。
私は早速アプリに録音されている音を再生してみた。
ザーッ、という低いノイズが響く。その後、次第に音声がはっきりしてきた。
んごー・・んごー・・、が・・が・・がが
ここらは単なるいびきだ。しばらく単調ないびき音が続く。
『あ・・うぐ・・ぐ』
突然、自分の苦しそうな声が入っている。まるで何かに首を絞められているようだった。
『ああ・・・あ・ぐぐ・・いや・・』
悶えているかのような声
呼吸が切れ切れになっている
『いやだ・・・イヤ・・・・・やめ・・やめて、』
寝ながら何かに訴えかけている。
『やめて、やめて・・・やめて
やめて、殺さないで、殺さないで、殺さないで・・・!』
なんだ?これは・・・いったい、何を言ってるんだ俺は?
苦悶の声、途切れ途切れのその口調は、声こそ自分のそれだが、なんだかその口調は舌足らずだ。おかしい、何かがおかしい。
そして、次の言葉を聞いた時、俺は全身の血が凍りつくかのような恐怖を覚えた。
『殺さないで・・・ママ!!』
あとでネットなどで調べてわかったことだが、自分が住んでいた家で、1年前に母が子供の首を絞め殺した、という事件があったそうだ。
そう、私に取り憑いていたのは、首絞め犯人の霊ではなく、実の母親に首を絞められ殺された子供の霊だったのだ・・・
ちなみに、この録音を聞き、真相に気づいてから、私は部屋に戻れなくなった。
結局、入居後、3ヶ月ばかりで再度の引っ越しを余儀なくされたのだ。
みなさんも格安物件には要注意・・・です。