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かるら怪談

第4章 ドライブレコーダー


どうやらウィンドウを開けているようだが、特に車から誰かが降りている様子もない。
数分すると、ウィンドウは閉じられ、車が走り出した。道を右に進む。

「ここが本当は左だったんだがな・・・」
ドライブレコーダーには右手の道にかかっている「工事中 進入禁止」との看板が写っている。
これが運転手には視えなかったらしい。一旦止まってまで確かめたのに、なぜ?

このあとは、先程見たとおり、そのまま車は冷たい水に突っ込むことになる。
Aは一旦ビデオを止め、巻き戻し、落ちる瞬間をまた流した。全く速度を緩める気配がない。

おかしい・・・

前方は確かに暗闇だが、光の先にはヤブがある。ヘッドライトでヤブが照らされている。視えないはずがない。
誤って落ちたとしても、ハンドルを切るなり、ブレーキを踏むなりの反応があって然るべきなのに、全くその気配がない。

もう一度見る。やはり同じだった。
ふと、気になって、スローで再生してみた。ヤブに突っ込む瞬間、なにか白い影がよぎったように見える。

Aは、コーヒーを一口飲む。
その白い影は単なる白飛びではないような気がした。

もう一度巻き戻して、コマ送りの再生を試みることにした。
と、と、と・・・と、画面が一コマずつ進んでいく。
黒いヤブ、そこを徐々に照らし上げるヘッドライト
木の葉だろうか、画面の中に数枚、舞い上がる様子まで事細かに見えていた。

ヤブに突入しようとする、その瞬間、
左上から何か白いものが膨らむように画面に溢れてきた。
更にコマ送りを進める。

「あ・・・」
Aの手は止まり、震えだした。

画面いっぱいに溢れた白い影
それは、目が黒く落ち窪んだ女性の顔だった。

まるで、彼らが死ぬのを喜ぶかのように嗤っていた。
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