第4章 ドライブレコーダー
【ドライブレコーダー】
20XX年9月X日、N県のダムに1台の乗用車が転落し、中に乗っていた男女3人が遺体で発見された。深夜にキャンプ地に向かっていた同車両が、林道で道に迷い、工事中で未完成の道路を直進して、そのまま真っすぐにダムに転落した様子だった。
深夜で暗かったこと、ブレーキ痕がなかったこと、特に三人に目立った外傷等がないこと、自殺する動機もなかったことから、N県警察本部P警察署では、道に迷った同車両が誤って転落したものと見て捜査を進めていた。
P警察署の交通捜査係室内。
A巡査部長は転落した車両から回収されたドライブレコーダーの画像を検証していた。
ドライブレコーダーには暗闇の林の中、車が直進し、突如として前に傾いて転落する様子が記録されていた。
暗さのせいで、道が途切れていることに気づかなかったのだろう。音声がないため詳細は不明だが、画面を見る限り車内で争ったなどのような不自然な様子は見受けられない。
「こりゃ事故だな」
Aは独り言のように言った。
「ん?」
気になって、Aは画像を巻き戻した。落ちる寸前、画面が一瞬さっと白飛びした。
ノイズかな?
Aは更に検証するべく、コーヒーを入れ、深夜の警察署でレコーダーの画像を見続けた。
1時間ほどドライブレコーダーを巻き戻す。
午後9時頃、繁華街のスーパーに一旦駐車する。全員で買い出しをしたのだろう。買い物を済ませた被害者の一人がレコーダーに写っていた。にこやかな表情まで見て取れる。この時に買ったと思われる食料品などは車のトランクに入ったままだった。
車は発車し、K山へのルートを取る。
しばらくすると、街を抜け、住宅も抜けた。いつの間にか林道に入る。まだ舗装はされているが、次第に対向車もいなくなり、道も細くなった。
キャンプ場の入り口を示す看板のある道を入ると、いよいよ簡易舗装の簡素な道が続く。
車は若干揺れているようだった。
ここで、急ブレーキをかけた。
目の前をイヌがよぎったのだ。イヌはこちらを見る。両眼がヘッドライトの光を反射して光る様子はこの世の生き物ではないかのような印象すら覚える。
車は再び発進した。
しばらく進むと、道が二股に分かれていた。車はここで一旦停止した。