第3章 ホシガリサマ
冬の日が落ちるのは早い。すでにあたりは真っ暗だ。コートを着ていても、冷気が体にしみてくるようだ。
駅までの間の、少し寂しい道に差し掛かる。
「それも、お話なんでしょう?」
私はA子に言った。このなんだか嫌な雰囲気を変えたかった。
「私、思いついたんだ。ダイジナモノをなくさないで願いを叶えて貰う方法。大事じゃないものを大事にすればいいんだって。」
「私、どうしても行きたい高校があるの。その男の子が行く高校。あの人は推薦で受かってしまった。私どうしてもその学校に行きたいの。だから、一昨日の日曜日。ホシガリサマのところに行ったの。」
街灯の下、A子は立ち止まる。
A子が私の方を見た。その目には前髪の影が昏く落ちている。
「私ね、ホントはあなたのような子、あんまり好きじゃないんだ。暗いじゃない、あなた。
でも、あなたは私が友達でよかったでしょ?」
「何を・・・言っているの?」
「あなたのこと大事にしたわよ。色んな所にも連れて行ったし、最初はタイプじゃなかったけど、いいところもあるなと思ったの、ホントよ。」
「でも、あの人と同じ高校に行くことに比べれば・・・
あなたは『イラナイ』」
A子はニッと笑った。
「私、学校に忘れ物したから、先帰っていて」
A子は踵を返して暗闇に消えていった。
私は混乱した。A子は願いを叶えてもらうためにタイプでもない私をわざと友達にしたということ?
3年間大事に付き合って、ダイジナモノに仕立て上げて、それで、殺そうと。
私は怖くなって走り出した。でも、A子の話が本当なら、今夜A子が寝たら・・・。
その夜、私は眠るのが怖くてなかなか寝付けなかった。手足がすーっと冷たくなっていた。
結局、最終的にはA子の作り話だろう、と自分を無理やり納得させて、やっとウトウトと眠りについたのだった。