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軋む両輪1【気象系BL】

第1章 Under the rader


その夜、セーフハウスに戻った二人は、一言も交わさなかった。
松本は、櫻井の仕事中の甘さを剥ぎ取るように、寝室に入るなり彼をベッドへ叩きつけた。

「翔くん、……今日だけは、僕のことだけを考えてよ」

松本は、櫻井の手首を自分のネクタイで乱暴に縛り上げ、その身体を組み敷いた。櫻井は抵抗せず、ただすべてを悟ったような、空虚で美しい瞳で松本を見上げている。

松本は、昼間に見た証拠の数々を打ち消すように、櫻井の身体に激しく突き入った。

「あ、っ……! 潤、……っ」

櫻井の口から漏れる、高い喘ぎ声。仕事中の完璧な「櫻井さん」を壊し、剥き出しの「翔くん」を貪る。

「翔くん、……っ、アンタが、全部悪いんだ……!」

松本は、櫻井の右脇腹にあるチップの痕を執拗に攻めながら、何度も何度も彼の中に熱いものを注ぎ込んだ。
櫻井は、縛られた手首を揺らし、苦しげに首を振る。その瞳には、快楽を通り越した絶望が浮かんでいた。

行為が終わった後、櫻井はすぐに背を向けた。
重なり合った熱は一瞬で消え、部屋には再び、嘘と秘密に満ちた冷気が戻る。
明日になれば、すべてが終わる。
強制捜査の混乱の中でこの男を置いて、手配した船でアメリカに逃げなければならない。

松本は、闇の中で隣に眠る櫻井の背中を見つめながら、拳を強く握りしめた。
明日になれば、すべてが終わる。
この男を逮捕し、自分の手でこの関係を壊さなければならない。

二人の最後の夜は渦巻く感情が部屋を埋め尽くしていた。
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