第1章 Under the rader
櫻井はシーツを強く握りしめ、溢れそうになる声を必死に押し殺していた。
松本が自分を疑い、その手で証拠を探っていることに気づいている。だからこそ、このプライベートな空間で彼に身体を預けることは、櫻井にとっても命がけの工作であり、同時に、理性では抑えきれない自害に近い悦びだった。
「……潤……っ、壊れる……、壊れる……っ」
櫻井が涙を浮かべ、松本の名前を呼ぶ。その掠れた声が、松本の理性を完全に焼き切った。
松本は櫻井の首筋に深く歯を立て、彼を汚すように、何度も何度もその中に熱いものを注ぎ込んだ。
「翔くん、……アンタが何者でも、僕が離さない……」
松本は、櫻井の脇腹にあるチップの痕に唇を押し当て、呪いのように囁いた。
櫻井は松本の背中に腕を回し、彼を強く抱き寄せた。その瞳には、一瞬だけ、仕事中の演技ではない本物の絶望と愛が混じり合って浮かんでいた。
行為が終わった後、櫻井はすぐに背を向け、冷たい声で「先に寝るぞ」とだけ告げた。
重なり合った熱は一瞬で消え、部屋には再び、嘘と秘密に満ちた冷気が戻る。
松本は、闇の中で隣に眠る櫻井の背中を見つめながら、拳を強く握りしめた。
明日になれば、また櫻井は職場で「松本、頑張りすぎだよ」と甘く微笑み、自分の頭を撫でるだろう。その偽りの優しさに、自分はまた何度でも溺れてしまう。
愛している。殺したいほどに、愛している。
その矛盾した感情が、松本の心と身体を、ボロボロに引き裂いていった。