第1章 Under the rader
松本が指を出し入れするたびに櫻井の吐息は湿度を増し、白い肌はピンク色に染まっていった。松本は覆いかぶさるようにして櫻井の腕を掴み、ベッドへ縫い止める。憧れていた櫻井の、見たこともないほど艶っぽい表情。低く、自分を呼ぶ声。本来なら、それは至上の幸福であるはずだった。膨れ上がる疑いがなければ。
対する櫻井も、全身の神経を尖らせていた。仕事中に見せる隙のないスーツ姿とは違い、今の自分はあまりに無防備だ。
(……この位置なら、見えないはずだ)
櫻井は、自身の右脇腹の、極めて見えにくい位置にある痕跡を意識し、わざと左側に重心を崩して松本を抱き寄せた。そこには、FBIの人間であることを示す識別チップが皮膚の下に深く埋め込まれている。通常、視覚で捉えることは不可能に近い。
僅かに止まった松本の動きを察し、櫻井は反り上がった松本を根本から掴む。
「いつまで焦らすつもりだ」
その煽りに負け、松本の理性は崩壊した。櫻井の膝を抱え上げて腰を一気に沈める。
「んあああ……っ、潤……っ」
シーツが大きく乱れ、櫻井の身体が大きく反り返った。
「んっ……! 翔くん……っ」
松本が、櫻井の脇腹を支えるように手を滑らせた、その一瞬。
窓の外を通る自動車のランプが、櫻井の右脇腹を鋭く照らし出した。