第1章 俺だけの先輩【アルハイゼン】
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何をしてもアルハイゼンには勝てなかった。
特別話をした事はない、が。
『ユメコ先輩、少し良いだろうか』
そう言って私に何回か聞きにきた事があった。
性格の悪い私は邪険にして追い返した。
『天才の貴方が、私に何を聞こうって言うの?』
今思い出しても本当に感じの悪い先輩だ。
そう言えば引き下がるのを知っていた。
私の心の為にはその言い方しか無かったのだ。
ただ考えてみれば人の事が考えられてない
その返答は如何なものだろうか?
思い出す度に心が痛くなる。
カーヴェ曰く、気にする必要は無いとの事だけど。
今更謝られても迷惑だろうし、何より覚えてないだろう。
「ティナリって、アルハイゼンと仲良いんだっけ?」
「……まあ、たまにお酒を飲んだりはするけど」
「もし良かったら、今度連れてってくれない?」
「良いけど…どうしたの?
アルハイゼンに会いたいって人、かなり珍しいんだけど」
「いや、あっちは覚えて無いだろうけど
ちょっと過去の事で謝りたくて。自己満だけどね」
「なるほどね。
この遠征が終わったら会う約束をしてるから、その時に一緒に行こう」
「ありがとう、ティナリ」
「全然。ただ、先輩がアルハイゼンに謝る事があるって意外。
逆なら分かるんだけどね、過去の事謝れ!って」
ははは、と乾いた笑いがでた。
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