第2章 ピンクレディとアールグレイ
「戻らなくていいの?」
「んー、あんまり戻りたくないかな、……って、やっぱ邪魔だよね、ごめんね」
「そう言う意味で言ったんじゃないから」
「そっか、………なんかねー、笑える気分じゃないんだよね」
「そうなんだ」
「うん、せっかく誘ってもらったのにこんなこと言ったらダメなんだけどね」
ほんの数日前、私は大好きだった彼氏と別れた。原因なんてあってないような些細なことで。次の日屍みたいな顔して登校したら、友人がめちゃくちゃ慰めてくれて、よしよしまでしてくれて、そんな彼女が私の彼氏の友達も誘ってさ、みんなで遊ぼうよって言ってくれたのが今日だった。
どうせ家に帰ってもきっと落ち込む。落ち込んで泣いて、目なんてぱんぱんに張らしたまま明日登校したら、仕方ないなってまた笑われる。1人でいるより少しは気晴らしになるかと思ってたけど、ダメだな。何を見ても何を聞いても彼に繋がる思考しか浮かばない。
この場所だってそうだ。学校帰りに2人でよく来てた。今みたいにベンチに座ってくだらない話をして、ほんの数週間前にも。
別れてから考えても仕方のないことが、同じ速度でずっと回ってる。このなんとも言えない重苦しさから早く解放されたいのに、こればかりは時間が必要だって分かってるから、余計にきつかった。
「みんなまだ騒いでるし、おれも帰るまでここにいるし」
「うん」
「別にいいんじゃない?それまで座ってても」
「じゃあ、そうしようかな」
何があったのとか、遊んだほうが紛れるよとか、テンプレみたいな言葉をこの人は使わないんだね。
ただ座ってればいいって。
それが私にはめちゃくちゃ救いだった。