第8章 花緑青をおよぐ金魚
「ベッドの端から端までずっとゴロゴロして動いてたから、寝ながら」
「あー、」
「おれの入る隙なんて1ミリもなかったよね」
それに誰かと一緒に寝るとか苦手だし。
研磨くんって、こんな掴めない人だったっけ。策士ともチャラいとも取れる言葉を私に投げるメリットは何。単に遊んでいるだけか、なにか意図があるのか、頭を使えば使うほど飲みすぎた代償はキリキリと痛みを増して、考えることを放棄してしまいそうになるけど、これだけは言いたい。
じゃあ何でそんなこと聞くの!なんでそんな言い方するの!って。
悶々と燻る感情が腹の底で渦巻いてるこの感覚は決して気分のいいものじゃない。翻弄されてじわじわ後から効いてくる言葉も仕草も表情も、強制的に彼を思い出す手立てになってしまう。
こんなの、気になるどころか好きに片足突っ込んでるようなもんだと、自分の気持ちを認めそうになった時、目の前の彼は笑って言うんだ。
「他の男の前ではそんな飲み方しないでね」
一気に咲き乱れる頭の中。
そうなってしまえばもう、なんでも都合の良いようにしか聞こえなかった。