Wild Flower【ガチアクタ/ザンカ/現パロ】
第10章 ワンスモア・ワンダーランド
「お前の中のなにがそんな風にさせちまってんの」
「えーっと、一応確認ですけど、全部聞いてます?よね?」
「アイツが隠してなかったら?一応?」
短い期間でも見てたから分かる。エンジンさんと彼の仲の良さは。隣で相変わらず余裕な笑みを滲ませる、底の見えない男を慕っているのも。と言うことはほぼほぼ確実に、なんなら上手く誘導して一言一句間違わずにこの人の耳には入ってるってことだ。
何が、と言われれば明確な言葉なんて出てこなかった。
ふんわりと輪郭などない不確かなもの。それでいて力だけはバカみたいに強い恐怖。
「誰かと一緒にいるのが怖いんですよ、びびりだから」
安心する場所が見つかって毎日が楽しくて、むず痒いあの感覚に、ようやく馴染んだと思ったら綺麗さっぱり跡形もなく消えていく。
歳を重ねるとその一連の景色の移り変わりに使える時間も体力も気力もなくなってしまうんだ。
それに彼は、
「若すぎるでしょ。一番いい時期になにもこんな年上選ばなくてもいいと思う」
バツのついた誰かのおさがりなんてザンカくんには似合わないし、わたしにはもったいない。
そう頭に叩き込んで、差し伸べてくれた手は意地でも取りたくなかった。
取ってしまったら全部変わるって分かってたから。