Wild Flower【ガチアクタ/ザンカ/現パロ】
第7章 似た者同士のノットイコール
いやいや、何してんのわたし。
何人家族だよ。作りすぎだってば。
街灯が疎らな一本道。車も通らないような細い道路でさえ、いつもの癖で左の端を歩いていく。
お気に入りのダウンを着込んで、夜空にのぼる白透明な息は、上がって数メートルで空気に溶けた。
休日の夜は意地でも外出はしない。だって次の日の仕事を考えると、存分にだらけていたいから。
そんな小さな信念を覆したのは、何となく雑談が続いていたエンジンさんとのLINEのせいだった。
料理の話になって、こないだのスーパーの一件を思い出して、またまた餃子が食べたくなった。
沢山作ったら冷凍できるし節約にもなると、買い込んだ食材を見事に使い切ったら、その冷凍庫にさえ拒否られる量ができてしまった。
中華屋さんになった気分です。
大皿数枚、テーブルの上に並べたそれを写真付きで送ってみれば、すげえ上手そう、なんて煽ててくれたから。
だったらお裾分けしようと思ったわたしはどうかしてた。
Dahliaに行けばザンカくんに会ってしまう。当たり前のことも見落として、そう言えばどうかしてるのは、あの日からずっとだと漸く気づいた。
無表情、無愛想、不機嫌。
仕事にストイック。
でも、周りのことは良く見てる。
繊細、優しさが分かりにくい損な性格。
笑うとちょっと可愛い。
チャラいとか軽いとか適当、には程遠い位置にいる彼のあの言葉を、どう考えても軽視などできなかった。
できなかったからこそ、わざと知らないふりをして逃げるように帰宅したんだ。
そこから数日。残像のような彼の言葉はまるで呪いだ。頭の隅にすら追いやれない。ずっと中央に鎮座しては記憶を呼び起こすから、たまったもんじゃなかった。
だからあんなアホみたいに買い込む。無心で100に近い数を包む。
結果、自分の首を絞めて彼の顔を見に行くハメになるんだよ。
そんなことを考えてたら、店内から漏れる灯りがすぐそこに見えた。
クローズのプレートがかかっていないってことは、もしかしたらまだお客が残ってるのかも。だとしたらかなりほっとする。
彼とエンジンさんの2人の空間に、何食わぬ顔してずけずけと入っていけるような根性は、生憎持ち合わせてないから。
扉に手をかけ深呼吸。よし!と心中で気合いを入れてスイングベルを鳴らした。