第12章 再会(続)/シリアス
物理的に動きを止められている訳でもないのに、何故か逃げられる気がしなかった。
それをする方が脅威であると思わせるような何かがあるのだとすれば、繭にはそれが理解出来ないし処理も行動もわからなくなってしまう。
今の繭自身から、怯み冷静さを欠く雰囲気が出ているのは自分でもよくわかる。
感情も理屈も通用しない上で、身体のどこかを拘束されている訳でもないのに 丸ごと無理矢理に塞ぐのだとすれば、どこも触れてすらいないこの状況が、逆に不自然なくらいだ。
「…………」
浅い呼吸の中で繭は微かにだけ思考を回した。
大丈夫、途切れそうな頭で自分にそう言う。
何故ならば、最後にもう一つ、切れるカードは持っている。
繭は、自分の声を確かめながら言った。
「あの時」
「…………」
「冴、凛の話してた」
「……………………」
繭には訪れる間をどう取ればよいのかはわからなかった。
落ち着いて状況を整理する余裕はないから、無意味に風の音に耳を澄ませるだけだ。
「……それ今出すか」
「……いつ、何話すか、私の自由でしょ」
少しだけ、会話が戻った感覚はあった。
けれどまだ繭の視線は固まったままだ。
「……気になる?」
気にならない訳がない。
理屈ではそれはわかるが、この場では推測の意味がない。
正解も、正しさも、とにかくわからないでしかないからだ。
「別に」
「……」
「興味ねぇ」
「…………」
あっさり距離を戻し、歩き出す凛を後ろから見張った。
繭はその場に止まり続けている。