第12章 再会(続)/シリアス
あの瞬間は様々なものが入り乱れていた感じはあったが、冷静となった今では淡く綺麗なものにまとまっているのだから、それはそれで良いように思う。
繭は視線を足下に落としながら、そう思い直す。
夕日のせいか自分の影がやたら長く、風だけは不自然なほど軽快に通り過ぎてゆく。
眼が乾く感じがするのは、風のせいと、まばたきが減っているからだ。
突如、目の前が黒い影に落ちる。
反射的に繭の脚がぴたりと止まった。
その場の空気を塗り替えられたような感覚になる。
「……うぜぇ」
振り返ってもやたら目が泳ぎ視線の固定先がわからないのは、凛の距離感も雰囲気も何かがおかしいからだ。
目と鼻の先とまでは言わないし、引こうと思えば引くことは出来る隙間はある。
なのに空間ごと押し込まれているみたいに、退路が狭くなる。
安全圏の確保の仕方がわからなくなっていた。
「…………近い…………っ」
「だから何だ」
一瞬だけ視線を上げてもすぐに逸らしたのは、見続けられない感じがあるからだ。
それをしたら逃げ場が完全になくなる気がする。
代わりに目先が固まったのは、凛の肩口あたりだった。
視界に入れたくなくても、視界に入れておかない事には別の方向から押し潰されるような警鐘がする。
狂った呼吸のタイミングを探し、繭は必死の固まる声を出した。
「…………何がしたいの」
「必要か、それ」
「……えっと」
「喋んな」
かすれるくらいの低い声に乗るのは、これはもはや会話ではなく、別の何かだという明確な意図だ。