第10章 モズモズ/ほのぼの微ギャグ
繭としては、いつの間にか主題が部活か何かに変わった感じになっているのは気になったが。
凛は感情や高揚や情熱、こういうもので一時的に美化された状態をそぎ落とし、地に足を付ける所にまで平気でたたき落としてくる。
この様はノリで言えば史上最悪だが、堅実性でいえばどこか頷けるものもある。
繭の方から、話題を戻してみる。
「じゃあ結局、結婚て何なの?」
「……契約」
「嘘でしょ!?無機質すぎない!?サッカー全振りにしてもさすがにそれはなくない!?」
「定義決めて何がしたいんだ」
「特に目的はない。なんだろうっていうプロセスを辿る話」
繭が思うに、これは嫌がられる視点だ。
ただ、言葉をその場のコミュニケーションとして使うのか、目的ありきで使うのか、人にはこの違いがあるから仕方がない部分でもある。
「なら最初からそう言え」
「言ったら無駄扱いする」
「場合によるだろ」
「今の話題は?」
「無駄」
「ほら」
昨日の映画然り、今の会話然り、明快な答えが存在しない物事は沢山ある。
だからこそ、こうやって結論のない余白を使うことも必要だと思うのだが、このあたりはあいにく共有が出来ない部分だ。
そろそろ、この時間も終盤になる。
繭はこみ上げる欠伸をかみ殺した。
「寝てない訳じゃないのに眠い……」
「……で、結局何が言いたかった」
「えっと、つまり、モズモズしたって話」
「それで終わりか」
「終わり」
「……中身何もなかったな」
「ね。用件も結論もなかった。それは認める」
今では軽く自虐の笑いが出るくらい、気分が回復しているのだからそれだけで十分だ。
「でも価値はあった。モズモズなんか消えた」
「そうかよ」
「サイダーは買うけど」
「……勝手にしろ」
これを聞いてくれたと表現するには親身さも関心も足らない。
ただ、完全遮断をされる訳でもない。
きっと、聞く理由は何もないが、聞かない理由も特にないからだ。
Fin