第4章 【直哉×無関心女中】
あまりの勢いに、の体がわずかにのけ反る。
直哉の顔は、驚きと屈辱、そして吐き気をもよぼすような困惑で塗りつぶされていた。
「私をお抱きになられたいのなら、どうぞお抱きください。……それで、お気持ちが済むのであれば」
は、至近距離にある直哉の瞳を真っ直ぐに見上げた。
そこには羞恥も、恐怖も、誘いもなかった。ただ、古びた道具の手入れを申し出るような、どこまでも無機質で献身的な響き。
直哉は、激しく肩で息をしながら、彼女の着物を掴む指に力を込めた。
「……お前、……本気で言うとんのか?」
「はい。直哉様がこれ以上苦しまれるのは、忍びのうございます。」
その言葉が、直哉の胸の奥で爆発した。
違う。そんなものが欲しいわけではない。
事務的に、義務的に、作業として差し出される体など、その辺の女でいくらでも足りている。
彼が欲しかったのは、彼女の「内側」だ。
あの凪いだ瞳が、自分だけに向けられた熱で濁り、自分を求めて叫び、自分なしでは生きていけなくなるような……そんな、魂の屈服。
だが、今目の前の女は、自分を「片付けるべき仕事」のように扱っている。
「……ちがう。……そうやない。……そうやないんや」
自分がどれほど心を砕き、プライドを捨てて告白したところで、彼女には一欠片も届いていない。