第2章 天才的なアイドル様☆ 【ヒロアカ 爆豪×アイドル】
イベントの警護任務を終えた数時間後。
爆豪は事務所借上げのマンションに帰宅していた。
トレーニングを終え、シャワーを浴びてなお、網膜の裏にはあの眩すぎるほどの光が焼き付いて離れない。
苛立ち紛れにスマートフォンを掴み、検索エンジンに指を叩きつけた。
「……これか」
ヒットしたのは、今日あのステージで気高く踊っていた一つのアイドルグループ。
グループ名は『Re:IX(リナイン)』
現役女子高生9人で結成されたというそのグループは、奇しくも爆豪と同じ、デビュー半年を迎えたばかりの同期だった。
画面をスクロールする指が、ある一点で止まる。
「センター、 ……」
高校2年生。
公式プロフィールに並ぶ月並みな言葉を無視し、爆豪はSNSのタイムラインへ飛んだ。
そこには、現場にいたファンたちの熱狂的な書き込みが溢れかえっている。
『の歌唱力がレベチ』
『ダンスのキレが新人じゃない』
『何より、のあの瞳に見つめられたら動けなくなる』
添付された画像や短い動画の中で、彼女は不敵に笑っていた。
静止画ですら伝わってくる、圧倒的な「輝き」
それは地下アイドルの枠に収まるような柔なものではない。
(……高校2年。まだガキじゃねぇか)
自分より年下の少女。
だが、あのステージで見せた彼女の瞳の輝きは異次元だった。
爆豪はソファに深く背を預け、天井を仰いだ。
自分はプロヒーローとして、命懸けの現場で戦っている。
片や彼女は歌と踊りの世界で、他人からの視線を奪い合っている。
住む世界も、戦う理由も違う。
それなのに、どうしようもなく理解できてしまう。
「あいつ、自分以外の全員を『脇役』だと思ってやがる」
あの瞳は頂点しか見ていない者の目だ。
周囲を蹴落とし踏み台にし、ただ独り、最も高い場所で光り輝こうとする強欲な魂。
爆豪はスマートフォンを放り投げ、自身の掌を見つめた。