第2章 天才的なアイドル様☆ 【ヒロアカ 爆豪×アイドル】
逆光の中でこちらを射抜いた彼女の瞳には、強烈なまでの光が宿っていた。
それは、異質な「渇望」の輝き。
(なんだ、あいつ……)
何千、何万という聴衆を前にして、彼女の瞳は一歩も引いていない。
むしろ、その場にいる全員の魂を力ずくで引きずり回そうとするような、傲慢なまでの輝きを放っている。
最前列で叫ぶファンも、警護に当たるプロヒーローも、彼女にとっては「自分を輝かせるための背景」に過ぎないと言わんばかりだ。
「……チッ」
爆豪は舌打ちをしたが、その視線は舞台上のセンターから離れなかった。
胸の奥が、焼けるように熱い。
それは強敵と対峙した時の高揚感に似ていた。
デビュー半年でチャート4位による、世間からの称賛。
そんなものは、今この瞬間に目の前の少女が放っている剥き出しの光に比べれば、酷く色褪せて見えた。
ステージのライトを反射しているのではない。
彼女自身が、内側から爆発的な熱量を持って発光している。
「おい、ダイナマイト。持ち場を離れるな」
通信機からジーニストの冷静な声が飛ぶ。
爆豪は返事もせず、ただ、一曲歌い終えて肩で息をする少女の瞳を凝視し続けた。
彼女がふと、客席の後ろで険しい顔をして立つ爆豪と目を合わせた。
少女は怯むどころか、不敵に口角を上げる。
その瞬間、爆豪は理解した。
この場所は戦場だ。
そしてあのガキは、自分と同じ種類の「勝負」を仕掛けてきているのだと。
「……おもしれぇじゃねぇか、クソガキ」
掌で小さな火花が爆ぜた。
警護対象であるはずのアイドルの輝きに、あろうことかトップヒーロー候補の男が、心ごと叩き伏せられていた。