第1章 レンズ越しの体温 【ヒロアカ 轟焦凍×モデル】
その様子を、リアルタイム中継で見守る者たちがいた。
「おいおい……マジかよ、あのブランドだぞ!? 契約金いくらだよ!」
「上鳴、そこじゃないだろ! 見ろよ、あのちゃんのフォロー! 完全に出来てるだろこれ!!」
テレビの前で、上鳴と瀬呂が絶叫に近い声を上げる。
切島もまた、「轟のやつ、あんな大舞台で……男だな!」と感極まったように拳を握っていた。
女子達の間にも悲鳴に近いチャットが飛び交う。
「ちょっと!! あの二人の並び、神すぎて画面が割れる!! 轟のあの困った顔、最高にそそるんだけど!!」
「轟くん、頑張れ……! でも、さんと並ぶと、なんだか本当にお似合いで、見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうね!」
「……素晴らしいですわ。あのブランドの格式に負けない、二人の気品。轟さんのあの表情……あれは、信頼している方にしか見せないものですわね」
会見が終盤に差し掛かった頃、記者がさらに踏み込んだ。
「プライベートでの交流はあるのでしょうか!?」
轟が答えに窮し、一瞬の沈黙が流れる。
記者の放った、好奇心という名の矢。
会場が固唾を呑んで見守る中、は少しも動じることなく、完璧な微笑みを浮かべた。
「私にとってショートさんは、尊敬すべき最高の仕事相手です。今はアンバサダーとして、このブランドの魅力を共に伝えていく『パートナー』としての関係を何より大切にしたいと思っています」
淀みのない、教科書のような回答。
彼女の口から出た「仕事のパートナー」という言葉は、あまりにスムーズで、一点の曇りもなかった。
それは過熱する憶測を鮮やかに遮断し、ブランドの品位を守るためのプロとして最善の答えだった。
「……。俺も、同じです。彼女から学ぶことは多い。良きパートナーとして、一年間務めさせていただきます」
轟もまた、彼女の言葉をなぞるように同調した。
だが、その実直な声の裏側で胸の奥がわずかにチクリと痛んだ。