第1章 レンズ越しの体温 【ヒロアカ 轟焦凍×モデル】
轟から放たれる穏やかな熱は、の体の芯まで染み渡り、強張っていた筋肉を劇的に解きほぐしていった。
魔法にかけられたかのように彼女の肌には柔らかな血色が戻り、その瞳には冬の寒さを忘れさせるような生命力に溢れた輝きが宿る。
「……うん、最高だ! 二人とも、今この瞬間、春そのものだよ!」
カメラマンの興奮した声がスタジオに響く。
隣に立つ轟もまた、自らの熱に寄り添う彼女の穏やかな微笑みに自然な表情を引き出されていた。
無理に作るのではない、守るべきものを隣に感じている男の顔。
それは、かつて「初々しい」と評された危うさの先に、確かな「包容力」という新たな色気を纏わせ始めていた。
シャッター音が止むたびに、二人は自然と視線を交わす。
彼女から伝わる感謝の眼差しと、彼から送られる静かな熱。
レンズの向こう側で完成していくビジュアルは、もはや単なる商品の広告を超え、物語のワンシーンのような密度を誇っていた。
「お疲れ様でした! 素晴らしいビジュアルになりますよ、これは!」
スタッフたちの拍手の中、ようやく全てのカットが終了した。
撤収作業が始まる喧騒の中、は再び私服のコートに身を包み、轟の元へと歩み寄った。
撮影中の「春」の余韻か、それとも彼が分け与えた熱のせいか、彼女の頬はまだ微かに上気している。
「ショートさん、本当にありがとう。あんなに温かくて心強い撮影、初めてだった」
彼女は少しだけ声を潜め、彼にしか聞こえない距離で囁いた。
「あなたのその『熱』のおかげで、私、今までで一番綺麗な自分でいられた気がする」
「……。俺の方こそ、君のプロとしての姿勢に、学ぶところが多かった」
轟は実直に応じながらも、内心では彼女の言葉に激しく動揺していた。
「綺麗だった」という言葉を飲み込み、ただ真っ直ぐに彼女を見つめ返す。
「次は記者会見ね。……また、世間を驚かせましょう?」
「ああ。楽しみにしている」
別れ際、彼女は軽やかに手を振ってスタジオを後にした。
残された轟は、熱を放っていた自分の左手を見つめる。
記者会見、そしてこれから続く一年間の契約期間。
仕事として向き合うにはあまりに眩しすぎるパートナーに、轟は自分の中の熱が、個性の制御を超えて高まっていくのを静かに感じていた。