異世界転生悪役令嬢だと思ったら、本当の悪女はヒロインだった
第25章 公開聴取 後編
「どれだけ残酷なことか、分かりますか?」
ざわめきが起こる。
「な、何を……!」
カイルが声を荒げる。
「まだ言い逃れを——」
「言い逃れではありません」
私は首横に振った。
「確認です」
そして。
私は後ろを振り返った。
「ノア先輩」
その名に、再びざわめきが起こる。
人々の視線の先。
黒いローブの青年が、静かに歩み出てきた。
宮廷魔法使い。
学院の首席魔導研究者。
ノア・アルケイン。
彼は一礼した。
「お呼びでしょうか、エミリア嬢」
丁寧な声だった。
まるで講義でも始めるかのように落ち着いている。
王子が険しい顔をする。
「ノア……お前までこの茶番に関わるのか」
ノアは穏やかに答えた。
「茶番かどうかは、これから確認できるかと存じます」
そして、手に持っていた水晶を掲げた。
「皆様に、一つだけお見せしたいものがあります」
カイルが睨む。
「何だそれは」
ノアは微笑んだ。
「記憶映像魔法の記録媒体です」
ざわめきが広がる。
「記憶……映像?」
「ええ」
ノアは淡々と続けた。
「人間の視覚情報を魔力で保存し、再生する魔法です」
そして少し首を傾ける。
「簡単に申し上げれば」
静かに言った。
「その場で実際に起きた出来事を、もう一度見ることができます」
広場が凍りついた。
王子の表情が変わる。
「……何?」
ノアは続けた。