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異世界転生悪役令嬢だと思ったら、本当の悪女はヒロインだった

第25章 公開聴取 後編


リリアーナの肩がびくりと揺れる。
広場中の視線が私に集まる。
私はゆっくり言った。

 
「あなたは、いつもそうでした」

 
 一歩、前に出る。

 
「困ったら泣く」

 
 また一歩。

 
「そうすれば、誰かがあなたを守る」

 
 さらに一歩。

 
「そして……」

 
 リリアーナの目を真っ直ぐ見た。

 
「誰かが悪役になる」

 
 彼女の顔が青くなる。
 私は静かに笑った。

 
「今回は」

 
 少し首を傾ける。

 
「誰が悪役になるんでしょうね?」

 
 その瞬間。

 
「エミリア!」

 
 怒鳴り声が響いた。
カイル団長だった。

 
「聖女に対してその態度は何だ!」

 
 私はちらりと彼を見る。

 
「団長」

 
「黙れ!」

 
 剣の柄に手をかける。

 
「映像など、いくらでも偽造できる!」

 
 ああ。

 やっぱりそう来るんだ。

 私は肩をすくめた。

 
「そう思いますよね」

 
 そして、隣を見る。

 
「ノア先輩」

 
 ノア先輩は小さく頷いた。

 
「ええ、当然の疑問です」

 
 彼は一歩前に出る。
 そして、丁寧に説明を始めた。

 
「記憶映像魔法は、第三者の魔力干渉を受けると崩壊します」

 
 静かな声が広場に広がる。

 
「つまり」

 
 指を一本立てる。

 
「改ざんは不可能です」

 
 さらに続ける。

 
「加えて、この映像は複数の視点から保存されています」

 
 水晶がもう一つ浮かぶ。

 
「エミリア嬢の記憶」

 
 もう一つ。

 
「そして——」

 
 ノア先輩は少しだけ微笑んだ。

 
「私の観測記録です」

 
 広場がどよめいた。
私は思わず小さく笑う。

 ……本当に。

 この人は容赦がない。
ノア先輩は、リリアーナを見る。
そして、とても丁寧な声で言った。

 
「聖女リリアーナ様」

 
 一礼する。

 
「もう一度だけ、お伺いしてもよろしいでしょうか」

 
 広場中が息を呑む。
ノア先輩は穏やかに言った。

 
「あなたは」

 
 ほんの少し首を傾ける。

 
「本当に、何もしていないのでしょうか?」

 
 その瞬間。
リリアーナの顔から、完全に血の気が引いた。
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